「虎の穴」へようこそ!全国大会決勝出場を目標に、日々修行中のワインアドバイザーの日記です。
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『春ボージョレー2012』セミナー&試飲会参加
2012-04-02 Mon 07:30
フランス食品振興会(SOPEXA)より、「ボージョレー」ワインのセミナー&展示試飲会の案内が送られてきたため、お休みをとっていってきました。

「ボージョレー」というと、日本では早飲みタイプの「ヌーヴォー」があまりにも有名で、一般の消費者には長期熟成できる「ボージョレー」があることはあまり知られていません。
そんな私も、ヌーヴォー以外のボージョレーはほとんど未知の領域であり、自身の経験値アップのためにも参加してきました。

      八芳園20120328


      八芳園桜20120328
‘そめいよしの’ではありませんが、正面の門をくぐると桜が満開となっておりました

「春ボージョレー2012」セミナー&試飲展示会

【日時】:2012年3月28日  セミナー・・・11:00~13:00  展示試飲会・・・13:00~17:00
【会場】:東京都港区白金台 八芳園
【講師】:オーレリー・ヴァブル氏(ボージョレーワイン委員会、輸出・広報担当)
     石田博氏(Restaurant-I シェフソムリエ)
【主催】:ボージョレーワイン委員会/EU(欧州連合)
【運営】:フランス食品振興会(SOPEXA)

      春ボージョレーセミナー1

◆セミナーの前半では、講師のA・ヴァブルさんより、「ボージョレー」全般の概要についてのお話がありました。
以下、ポイントを箇条書きにしてみます。

(1)ボージョレーの地理的位置・・・リヨンの北30km、南北55km、東西25km、東にSAONEソーヌ川

(2)ボージョレーの3つのカテゴリー
・「ボージョレーの10のクリュ」・・・全生産量の36%を占める
・「ボージョレー・ヴィラージュ」・・・〃28%、そのうち43%はヴィラージュ・ヌーヴォー
・「ボージョレー」       ・・・〃36%、そのうち54%はボージョレー・ヌーヴォー

(3)生産量と輸出先
・ボージョレー・ヌーヴォーは60歳!  
・生産量(ボージョレー全体):約80万hl(1億6百万本)  うち国内消費が60%、40%が輸出
・日本はヌーヴォーの世界一の輸入国・・・6万5千hlのうち6万hl(90%)→世界でも珍しい構成
・ヌーヴォーの解禁日は11月の第3木曜日であるが、長熟タイプの解禁日は、サンタムールを例外として現在は1月15日以降。(2013年以降は2月15日以降)
※一般的にはイースター(春分の日の後の最初の満月の次の日曜日)を越してからが常識。

(4)ボージョレーの畑について
・ボージョレーの畑の起伏・・・東向きの丘・丘陵  アペラシオンごとに違う性格のワイン
・畑の地質・・・●結晶質土壌 花崗岩質・・・フルーリー→ピンク色 コート・ド・ブルイイ→青
               変成岩質
        ●堆積性土壌 沖積土と崩積層
               粘土・石灰質・・・ボージョレー

(5)3つの気候の影響
1-大陸性気候(冬)・・・寒い冬 -10~15℃  害虫は死滅
2-大西洋気候(春)・・・雨が多く、湿度の高い春
3-地中海性気候(夏)・・・暑く乾燥した夏、温暖な秋

(6)代表品種
単一品種・・・“ガメイ”-ピノ・ノワールとグエ・ブランの交配により誕生・・・フランス全体で1万6千ha
        弱いが多産の品種 → 管理が大切  フルーティで楽しむためのワイン
        収量コントロール・・・52hl/ha
手摘みの収穫・・・ボージョレーでは全てが手摘み(他ではシャンパーニュ)→3万5千人の季節労働者
ヴィニロン一人当たり7ha   12の協同組合   180のネゴシアン

(7)醸造
房ごとの醗酵 → 細胞内醗酵 → とてもフルーティ・・・赤・黒の果実の香り

(8)AOC:ボージョレー
ピエール・ドレ(黄金の石)地区、フルーティでフローラル、シャルドネは畑の2%

(9)AOC:ビージョレー・ヴィラージュ
AOC:ボージョレーの北部、村の数38、四分の一が「ヴィラージュ・ヌーヴォー」、起伏の多い地形、クリュを取り囲むようにボージョレー・ヴィラージュの畑が広がり、シャペルがそびえる。

(10)10のクリュ・・・ボージョレーの花形
深み、ボディのあるワイン

●しなやかなタイプ

・シルーブル・・・標高400mの最も高いところに花崗岩の畑。ソフトでエレガント、色は輝きのある赤で、シャクヤク、すずらん、紫すみれなどの花の香り。繊細でフルーティ、最もボージョレーらしいワイン。17000hl、350ha、花崗岩と斑岩。

・ブルイイ・・・村の名前ではない。ブルイイ山のふもとにあり、畑の面積は1300haでクリュワイン一の広さ。深いルビー色で、赤い果実、プラム、桃の香りとミネラル香。クリュの中で最も南に位置し、最も軽やか。66,500hl、1300ha、花崗岩と沖積砂。

・レニエ・・・1988年に認定された一番新しいクリュ、「クリュのプリンス」。さくらんぼ色で紫の反射光があり、グロゼイユ(スグリの実)、ミュール(黒イチゴ)、フランボワーズ(黄イチゴ)の香り。17,400hl、400ha、砂状の花崗岩。

●中庸なタイプ

・フルーリー・・・花崗岩の土壌、ビロードのような喉ごしがエレガント。アイリス、紫すみれ、枯れたバラなどの花の香り、桃、カシス、赤い果実などのフルーティな香り。「ボージョレーの女王」、最も女性的。名前の由来は「花」ではなく、ローマ時代の将軍の名前。39,000hl、860ha、花崗岩の混じった砂。

・サン・タムール・・・“愛の聖人”という魅力ある名前。最も北に位置し、唯一ソーヌ・エ・ロワール県に畑がある。20%がバレンタインデーで売られる。生き生きとしてバランスがとれ、ガメイの果実味をそのまま残す。色はルビー、キルシュ(サクランボの蒸留酒)やスパイスやモクセイソウの香り。ソフトで調和のとれた飲み口。14,900hl、310ha、粘土、珪質岩

・コート・ド・ブルイイ・・・ブルイイ山のブルーの花崗岩と片岩からなる日当たりのよい斜面。4つの村からなる。気品のあるワインで、色は緋色、生のぶどうやアイリスの香り。15,500hl、320ha、花崗岩と安山岩(青い石)

●熟成向きタイプ

・ジュリエナ・・・2000年前から栽培始まる。桃や赤い果実の香り、花の香りが早くから感じられる。若いうちからも、数年おいてからも楽しめるワイン。クリュワインを知るための基本ワイン。21,900hl、580ha、片岩と花崗岩、粘土質の鉱脈。

・シェナ・・・クリュで最も小さい畑、100人のヴィニロン。ルイ13世が愛したワイン。ぶどう畑を切り開く前にあったシェーヌ(樫の木)が名前の由来。長熟タイプで、アルコール度が高く、まろやか。ボディにこしがあり、花の香りと樽の香り。9,400hl、250ha、花崗岩まじりの砂。

・モルゴン・・・重要なクリュ、6つの区画。肉付きがよく、口に入れたときの豊満さが魅力。深みのあるガーネット色で、チェリー、桃、アプリコット、プラムなどの核果系果実の熟した香り。55,000hl、1,100ha、片岩と崩れた花崗岩。

・ムーラン・ア・ヴァン・・・ボージョレワインの「王」、長熟タイプで、クリュの中でも最高のワインの一つ。栽培は15世紀からはじまる。名前は村名ではなく、ロマネッシュ・トランの丘の上にある古いムーラン(風車)に由来。

(11)2009、2010、2011:3年連続の素晴らしいヴィンテージ

・2009年:歴史に残るヴィンテージ!
     理想的な気候条件、非常に凝縮、赤より黒い果実の香り、長期熟成のポテンシャルが高い。

・2010年:ボージョレーらしい特有のスタイル!
     クラシックなタイプ、素晴らしいアロマ、優れたフィネス。

・2011年:2009年と2010年の結合
     リッチでありながらフルーティ、凝縮した美しい色合い。

◆後半からは講師が石田博さんにバトンタッチされ、いよいよボージョレーワイン10種類のテイスティングに移ります。

      春ボージョレーセミナー試飲10種

今回のテイスティングは、ロゼ1つ、ヴィラージュ3つ、シルーブル2つ、フルーリー2つ、ムーラン・ア・ヴァン2つの計10種類。
そのうちヴィラージュが2009、2010、2011、3年間のバーチカル、クリュ3種類がそれぞれ209、2010、2年のバーチカルテイスティングという、たいへん興味深いものでありました。

テイスティングの冒頭に石田博さんが、「テイスティングは‘理論’が先ず重要で、理論的に行う必要がある。‘感覚’と‘理論’が分離してしまっている人が多いが、それがリンクしていないといけない・・・」旨のお話をされましたが、自分も時々‘感覚’が先行してしまっている部分があるため、耳の痛いご指摘でありました。

      ロゼ&ヴィラージュ3種2009・2010・2011

左から、Domaine Rochette Beaujolais-Villages Rose 2010 ドメーヌ・ロシェット ボージョレー・ヴィラージュ・ロゼ、 Les Vins Georges Duboeuf Beaujolais Villages ジョルジュ・デュブッフ ボージョレー・ヴィラージュ (左から2011、2010、2009年)

・一番目のロゼは、淡いチェリーレッド、香りは軽快で控えめな印象。味わいは白ワイン的で食前酒や乾杯の一杯として最適。
・ヴィラージュの2011年は強く紫がかったチェリーレッド、鮮やかな赤。チャーミングでピュアな果実、赤よりはブルーベリーなど酸味より甘味が勝る黒い果実の香り。空気に触れると甘草や牡丹などの花の香り。つややかでフレッシュなフルーツの味わい。
・2010年は明るく鮮やかな色調。香りはややクローズで、甘味よりは酸味のあるフルーツの印象。空気に触れると穏やかな土の香り。上品で緻密なスタイル、バランス良く滑らかで味わいのトーンに豊かさを感じる。
・2009年は、紫は消え、黒味を帯びた色調。深みと強さを感じさせる印象。新鮮なフルーツというよりは、煮詰めたような複雑性があり、空気に触れると土っぽさや燻製のようなミネラル質の香りを感じる。芳醇でふくよか、肉厚で弾力のあるボディの豊かさがある。

      シルーブル2種2009・2010

Jean Marc Monnet Chiroubles ジャン・マルク・モネ シルーブル (左から2010、2009年)

・2010年は明るい色調。濃縮し、凝縮した花びらのような印象。力強さを感じ、3~5年は発展する可能性。メインの肉料理には仔牛肉のソテーなどしっかりとした料理が合う。
・2009年の外観は、輝きは落ち着きモヤがかかった印象。空気に触れると変化し、土っぽさ、鉄分ぽさなどのミネラル感が感じられる。

      フルーリー2種2009・2010

Yvon Metras Fleurie イヴォン・メトラ (左から2010、2009年)

・2010年は明るく深い色調、若干紫がかり、落ち着いた輝き。ピノ・ノワールのようなブラックチェリーの香り、花の香り。しなやか、サラサラとした渋味、キメ細かいタンニン。
・2009年は熟成感が豊か。湿った土、樹皮、きのこのような熟成した香り。芳醇さ、力強さ、肉厚なふくよかさ。シルクのような渋味、キメの細かいタンニンを感じる。

      ムーラン・ア・ヴァン2種2009・2010

Mommessin Moulin-a-Vent モメサン ムーラン・ア・ヴァン (左から2010、2009年)

・2010年は色調に紫が残る。クローズして控えめな香り、深みのある重い香り→3~5年後に開く。鉄分のあるミネラル感。酸とアルコールとタンニンががっしりとした骨格を形作る。長期熟成型。
・2009年は2010年より深みのある色調と香り。スパイス、きのこのような深みと複雑性のある香り。鉄分のミネラル感があり、最も閉じた印象。


◆セミナーのあとは、別室に移動し展示会のワインを試飲

この日は、16のインポーターが約70種類のワインを展示し、生ハムの試食などもありました。

      「春ボージョレー」展示試飲会1

      「春ボージョレー」展示試飲会2

      「春ボージョレー」展示試飲会3

ブリストル・ジャポン(株)さんのブースでは、2002年の Brouilly と、なんと1997年の Moulin-a-Vent を試すことができ、“ボージョレー=早飲みワイン”といった単純な図式は単なる偏見であることが分かります。

セミナーの途中に石田さんが仰っていたことですが、
「ヌーヴォーは本来、その年のワインの出来栄えをはかるためのものであり、ヌーヴォーだけ飲んで終わるのはおかしなことです。日本のボージョレーの消費の90%がヌーヴォーということは、ほとんどの消費者はヌーヴォーしか飲んでいないことになり、その先にあるボージョレーワインのほんとの美味しさを知らないことになります。これは我々販売する側の責任でもあります」
という旨のご指摘は、日本で一番‘ヌーヴォー’を販売している小売業大手I社の一員として、またまた耳の痛いお話でありました。

この日、展示されていた大半が2,000円~3,000円台と、クリュ・ボージョレーといえどもデイリーワインの価格帯で購入できるのも、私のような安ワイン者にとってはうれしいところ。
この日セミナーでも話があったように、ここ3年間はどれも当たり年ということで、ワインショップで見つけたら早速購入し、5~6年寝かせて楽しもうかと思います
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