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「日本ソムリエ協会 関東支部 第1回例会」参加
2012-03-15 Thu 02:18
今年初めてのソムリエ協会の例会が、品川のグランドプリンスホテル高輪で開かれましたので、約1年ぶりに参加してきました

日本ソムリエ協会 関東支部 第1回例会

【日時】:2012年3月13日(火) 14:00~16:00
【会場】:東京都港区高輪 グランドプリンスホテル高輪 「プリンスルーム」
【テーマ】:「オレゴンワインセミナー」
【講師】:David Millman ドメーヌ・ドルーアン・オレゴン マネージング・ディレクター
     Mark Vlossak セント・イノセント オーナー醸造家
【コメンテーター】:石田博 レストランアイ シェフソムリエ 第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位

この日は、新世界の中ではあらゆる面で最もブルゴーニュに近く、「テロワール」の違いが鮮明に表れるオレゴンの Pinot Noir についてのセミナーでありました。
開場し着席したときには、7つのグラスのうちすでに3つのグラスにワインが注がれていたのですが、香水のような華やかな赤い果実の香りがあたりに漂い、とてもハイレベルなピノ・ノワールの比較試飲であることが分かりました。

2時間に渡るセミナーの内容をここで全て記載することは、時間がいくらあっても足りないくらいの内容でありましたので、箇条書きにまとめてみます。

【オレゴン州について】
・全米第3位のワイン生産量、北緯45度-フランスのブルゴーニュと同じ緯度。
・<ワイナリー数>:419(全米第2位)、<ヴィンヤード数>:849、<栽培面積>:8,296ha
 <生産量>:177,152hl、<販売数量>:1,930763c/s、<販売総額>:2億5370万ドル
※数値は2010年度であり、昨年の「教本」のデータとはかなり違っています

・新世界の中では珍しく、メガワイナリーがなくブルゴーニュ同様に家族経営の小規模ワイナリーが大部分を占める。
<平均栽培面積>:9.3ha、<収穫量>:1.85t/acre(4.5t/ha、35hl/ha)、<生産量>:ワイナリー平均4,608ケース
・ぶどう畑全体の29%がLIVE、Oregon Tilt(アメリカ政府農務省有機栽培)、ビオデナミ認証をもつ。
・植物相の多様性が奨励され、自然環境の保全が広く行われている。

【オレゴンの産地特徴】
・「ウイラメット・ヴァレー」・・・オレゴンのピノ・ノワールの93%を生産、‘火山性土壌’、‘海洋堆積砂岩’、‘玄武岩’など多様な土壌。カリフォルニアより500マイル北に位置し、涼しい気候。
・昼夜の温度差が大きい・・・暖かな日中と冷涼な夜間
・生育期間が長い
・手作業での管理
・手収穫

【オレゴンの大地の形成】
・2億年前までオレゴンは太平洋の海底であった。
・太平洋プレートと北アメリカプレートの衝突によりオレゴンが誕生。
・海岸山脈とカスケードの火山山脈が形成された。現在も造山運動は継続中。
<ウイラメット・ヴァレーの土壌>
・5000万円前・・・シルツ・ヴァレー火山
・4000万年前・・・輝緑岩(玄武岩)
・3000万年前・・・海洋性砂岩と泥土
・1500万年前・・・コロンビア・リヴァー(玄武岩)

以上のようなオレゴンワインの概要説明がひととおりあり、いよいよテイスティングに移ります。

この日は、Pinot Noir ばかり7種類。ウイラメット・ヴァレー産でブレンドしたものが4種類、次に単一AVAでの比較で3種類。事前にそれぞれのワインの特徴や醸造法が書かれたシートが配られてはいたのですが、実際のグラスの順序はバラバラで、それをブランインドで予測していくという面白い趣向で行われました。
(ヴィンテージは全て2009年、09年はオレゴンのワイン栽培の歴史上、最も暑い夏で、開花が早く、温暖な生育期、熟度の高い良いヴィンテージ。飲みやすく、フレンドリーなヴィンテージとのことでした)

      オレゴンワインセミナー30120313ウイラメット・ヴァレーブレンド4種

先ずはウイラメット・ヴァレー産 Pinot Noir のブレンド4種類

左から、
①Firesteed WV Pinot Noir (醸造家):Bryan Croft (目指した造り):ウイラメット・ヴァレーのピノ・ノワールのエレガントで熟成する、豊かで十分な果実味、バランス、タンニン、程よいアルコール分すべてを持つワイン。(フレーヴァー・プロファイル):チェリー、すぐり、プラム、ブラックベリーの風味、さらにトリュフ、チョコレートの風味も感じられる。(樽熟成):16ヶ月、新樽率20%。(全房):0% (醗酵):小型の醗酵槽で、1~3日間自然放置、プレスまで7~12日間、パンチングダウンした。
(石田さんのコメント):明るいルビー、フローラルな香り、やさしいヴァニラ、もうまもなく紅茶などの熟成したニュアンスが出てくる手前のところで、これから熟成感が感じられる。キメ細かい酸味と甘味を感じる。

②Adelsheim Elizabeth's Reserve (醸造家):Dave Paige (目指した造り):ヴィンテージと畑を反映した「ベスト・オブ・ワイナリー」ともいうべきリザーブワイン。大半のぶどうはチェハレム・マウンテン5ヶ所にある自社畑産、それぞれに土壌、クローン、微小地気候、醗酵槽のサイズ、樽の特徴をもたらす。(フレーヴァー・プロファイル):赤いラズベリー、新鮮なオレゴン産のイチゴ、茶色のスパイスと杉のアロマ。口中ではエレガントでバランスが取れ、タンニンが絹のように滑らかで余韻が長い。(樽熟成):10ヶ月、新樽率30%。(全房):0% (醗酵):手摘みし除梗、開放醗酵槽で4~5日間コールド・ソーク(低温浸漬)後、培養酵母を加え、醗酵期間(6日)中、日に2~3回、パンチングダウン(櫂突き)をした。
(石田さんのコメント):チェリーレッドの深く濃い色合い。凝縮感を感じる香り、ブラックチェリー(過熟しておらず果皮に弾力を感じる段階の)、土っぽさ、空気に触れるとスパイスや針葉樹のニュアンス。ヴォリューム感のある味わい、中盤から酸味をより感じる、グラマラス。

③Domaine Drouhin Oregon WV pinot Noir (醸造家):Veronique Drouhin (目指した造り):目指すのは真のピノそしてオレゴン本来、さらにドルーアン・スタイル、すなわち、調和、フィネス、余韻の長さが強調されたワイン。(フレーヴァー・プロファイル):クラシックなダンディー・ヒルズ・スタイル、赤い果実の風味を思わせチェリー、ブラックチェリー、スパイス、野いばらのような野生ハーブの花を思わせる。(樽熟成):新樽率20% (全房)0% (醗酵):短期間のコールド・ソーク、天然酵母で醗酵。
(石田さんのコメント):明るいルビー、香りはやや閉じ気味。ミネラル感、土っぽさ、ドライハーブ的、熟成すると紅茶やタバコに向かう。味わいはエレガント、フィネス、緻密、余韻長い。

④Dobbes Family Estate Griffin's Cuvee (醸造家):Joe Dobbes (目指した造り):熟成するワイン、6ヶ所の畑のさらにロット、樽をブレンド。(フレーヴァー・プロファイル):空気に触れるにつれフランベしたブラックチェリーと夜の大地の香りが強調される。赤いリコリス、熟したチェリーとダークチェリーの風味ももつ。(樽熟成):10ヶ月、新樽率60%。(全房)15% (醗酵):85%除梗、SO2を70ppm添加、5日間コールド・ソークを実施。
(石田さんのコメント):深く濃い色合い、黒味のあるチェリーレッド。香りのヴォリューム大きい、ブラックチェリー、スパイス、奥行きのある、土っぽさも感じる。味わいは芳醇、ヴォリューム感があるが、引き締まったアスリート的ボディ。

続いて、単一AVAのピノ3種類

      オレゴンワインセミナー20130313単一AVA3種

左から、
⑤Sokol Blosser Estate Cuvee (醸造家):Russ Rosner (AVA):Dundee Hills <火山性土壌>(目指した造り):その年最上の樽を基にしたユニークなブレンドがエステート・キュヴェ。角が取れ調和し熟成するピノ・ノワールをつくるため、注意深く試飲し、際立った味わいとアロマをもった樽を選びだす。(フレーヴァー・プロファイル):ジョリー土壌(火山性土壌)の風味と香り・・・大地、チェリー、コーラ、モカ、ラズベリー。(樽熟成):16ヶ月、新樽率:50%、一年樽50% (全房):0% (醗酵):1ないし3トン容量の開放槽で9日間、日に2回パンチングダウン。醗酵前2日間、醗酵後は23日間、果帽浸漬し、合計34日間醗酵槽においた。醗酵時の最高温度は27.8度。
(石田さんのコメント):色合いは⑤~⑦3種類とも①~④よりは濃い色調。香りの印象はフランボワーズのコンフィ、フローラル。味わいもフローラルでで心地よい味わい、控えめな酸味、キメの細かさ、繊細さを感じる。

⑥Rex Hill Jacob-Hart Vineyard (醸造家):Sam Tannahill (AVA):Chehalem Mountains <多様性のある土壌>(目指す造り):ビオデナミ農法が、さらにウイラメット・ヴァレー内にみられる各種土壌が混在する畑の土壌特性が複雑で豊かな風味をもたらす。豊かでみずみずしく、2009年の力強く凝縮し熟したタンニンを感じさせる。余韻の長さに熟成の可能性を感じさせる。(フレーヴァー・プロファイル):プラム、濡れた石、黒スグリ、ブラックチェリー、オーク、シナモンのアロマ、さらにブルーベリー、大地、トリュフ、杉、つぶした胡椒、鉛筆の削りくず、野鳥の風味が現れる。(樽熟成):11ヶ月、新樽率55% (全房):53% (醗酵):野生酵母で醗酵、SO2は最小限使用。オーク製開放槽で7~10日間コールド・ソーク、醗酵中は日に1~3回パンチングダウン。醗酵温度は31~33度。
(石田さんのコメント):香りはやや閉じ気味、複雑性のある香り、スパイス、土、針葉樹、ドライフラワー、くんせい。しっかりとしたストラクチャー、酸とタンニンのバランスが良い、がっしりとしたタイプ。

⑦St.Innocent Shea Vineyard (醸造家):Mark Vlossak (AVA):Yamhill-Carlton District<海洋性堆積土壌> (目指した造り):シア・ヴィンヤードはとてもクラシックなスタイルのピノ・ノワールを育み、エレガントで素晴らしい酸、バランスの取れた風味、凝縮した果実味をもつ。さらに畑の環境を反映した微妙な風味をもつ。常に当社でもっとも複雑で味わいの重なりがあるピノ・ノワール。(フレーヴァー・プロファイル):深い赤い果実の香りがあり、甘い花の香りが際立つ。わずかにカラメルの香りも。口中では熟した果実の風味が豊かで、甘いスパイス、夏の花、わずかに赤いドライフラワーが後に続く。(樽熟成):16ヶ月、新樽率32% (全房):0% (醗酵):収穫時SO2は添加せずコールドソークもしていない。醗酵槽で12日間、日に1~2回パンチダウン、0.9気圧で軽くプレス。3日間静置しオリを下げ樽に移す。自然に任せた乳酸醗酵後、最初のSO2を添加し、瓶詰時までフリーSO2を20~35ppmに保つようにした。
(石田さんのコメント):ブラックチェリーのコンフィ、ミネラル、複雑で気品が高い。味わいは凝縮度が高く、しっかりとした骨格、ボディも強く、長い余韻。




      オレゴンワインセミナー20120313-3

左から①~⑦のワインボトル。

真面目に書いていたら、ずいぶんと長い記事になってしまいました( ̄_ ̄;)
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます<(_ _)>
きりがないのでそろそろまとめに入ります。

この日試したワインは店頭価格で¥5,000~¥8,000と、いずれもレベルの高いものでありましたが、一口に「オレゴンワイン」といってもそのテロワールや造り手の目指すものにより多種多様な個性が存在することが分かりました。
普段どうしても「欧州伝統生産国」対「ニューワールド」といった構図でワインの世界をみてしまいがちでありますが、このオレゴンのように限りなくブルゴーニュ的な繊細さとフィネスを持ち、それでいて単なる物真似ではなく“オレゴン”らしさを主張する産地が存在し、それがまたワインというお酒の奥が深くて面白いところであると実感できた有意義なセミナーでありました
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