「虎の穴」へようこそ!全国大会決勝出場を目標に、日々修行中のワインアドバイザーの日記です。
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コンクールに向けての対策・勉強法について(その①筆記試験対策)
2016-12-29 Thu 13:16
「決して望みを捨てぬ者だけに道は開ける」 ・・・大河ドラマ『真田丸』より:真田信繁(談)

先週の日曜日に毎週楽しみに観ていた『真田丸』が最終回を迎えました。

主役の堺雅人さんはもちろんですが、“ラスボス”家康役の内野聖陽さんや、秀吉役の小日向文世さん、真田昌幸役の草刈正雄さんなどなど、これまでの歴史上の人物像を覆す、味のある名演技は、毎週上質なグランヴァンを飲んでいるような満足感を与えてくれるものでありました。
演技もそうなのですが、それぞれの人物から語られる台詞も実に味わい深いものが多くあり、大坂の陣で信繁が語った冒頭の台詞などは、まさにこれからコンクールを目指す方々にとっては座右の銘とすべき金言であるといえるでしょう。


さて、前回の記事でコンクール対策の勉強法についてコメントを頂いており、返信欄では簡単にお答えできないことであり、また自身のこれまでのコンクール対策の勉強に対する総括の意味でも、今回まとめとして記事にすることにしました。

一口にコンクールといえども今年まで3呼称のコンクールが独立してあり、その呼称独自の試技がそれぞれあるわけですが、ソムリエコンクールのサービス実技などは門外漢であるため、ここではアドバイザーとエキスパート呼称にある程度共通した筆記試験対策とテイスティング対策にしぼって述べたいと思います。(今年でアドバイザーは最後となりましたので、実質的にエキスパート・コンクールを目指す方向けになりますが)
今回はその中でも、筆記試験(口頭試問含む)対策についてであります


【参考文献による学習】

予選の筆記試験対策につきましては、やはり「ソムリエ教本」の読み込みから始まりますが、そこからの出題はほぼ満点ゲットが前提となり、それにプラスして、それ以外の問題でどれだけ得点を積み上げていけるかが勝負の分かれ目になると思われます。
したがってなるべく広範囲にワインに関する情報を仕入れる必要があるわけですが、ハッキリとここまでやればOKという基準のようなものはありません。
ようするに範囲は無限といってもいいのですが、それでは取り付く島もなくなりますので、以下、個人的に非常に役に立ち、最低限これは読んでおいた方が良いと思われる参考文献&著者をご紹介していきます。

◎「日本ソムリエ協会教本」
過去2回チャレンジしたアドバイザー予選の筆記試験においては、約6割方の出題が教本からの出題であり、先ず何といってもこれをベースとして学習する必要があります。
一般呼称資格試験などは、マークシートの選択式でありますが、コンクールではもちろんすべて記述式であるため“うろ覚え”では太刀打ちできません。
範囲も呼称資格試験に定番として出題されるような箇所はもちろん、“重箱の隅をつつく”ような出題もあるため、全てに目を通す必要があります。
特に酒類概論のワインの醸造法や貯蔵・熟成については、アルコール発酵やMLFの化学式を書けることから始まり、なぜその醸造法を行うのか?その効果は何か?など根本的な原理・原則について“理解”することが必要となります。
私個人的には、このブログでもアップしています呼称試験対策“実戦問題集”の拡張版である“コンクール対策実戦問題”を自分で作成し、それを繰り返し繰り返し復習することで対応しておりましたが、覚え方は自分が得意とする方法で構わないと思います

◎日本ソムリエ協会機関誌「Sommelier」
現在の日本ソムリエ協会の中で、コンクールを司る技術研究部の中核である石田博副会長や森覚さんをはじめとするメンバーが書かれている、特にテイスティング関連の記事等は、その考え方を理解するうえでも見逃してはならないでしょう。
また色々なコンクールについてのレポートも掲載されており、出題傾向を把握するうえでもとても参考になると思います。

◎「世界のワイン図鑑」:ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン(著)、山本博(訳)
現在の全世界のワインを俯瞰するのに必須の文献
著者のヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソンのお二人は今更説明の必要もない、世界最高峰のワイン評論家であり、この二人の著作はAmazonで検索し、手当たり次第に読み込んでいく必要あり。

◎「ワインの科学」&「新ワインの科学」:ジェイミー・グッド(著)、梶山あゆみ(訳)
ぶどうの栽培からワインの醸造・熟成をはじめとして、酵母の働きやフィロキセラといった微生物の生態、テイスティングにおける脳の働きなどなど、広範囲のワインにまつわる事象について、科学の視点からそれらを検証・解明している非常に興味深い読み物。
旧版と新版があり、重なる部分もありますが、旧版にしか書かれていない項目もあるため、両方を読んでみることをお勧めします。

◎マットクレイマーの一連の著作:「ブルゴーニュワインがわかる」、「イタリアワインがわかる」、「マット・クレイマー、ワインを語る」
著者はアメリカを代表するワイン専門誌『ワイン・スペクテイター』の名物コラムを担当していた当代超一流のワインライター。
Amazonのレビューでも翻訳家の立花峰夫さんが絶賛しておりますが、私も延命師匠の薦めで一通り読んでみました。
書かれた時期が今となっては少し古いものもありますが、呼称資格のバッチを習得した有資格者が、次に読むべき本であることは間違いないでしょう。

◎堀賢一さんの一連の著作:「ワインの個性」、「ワインの自由」、その他「ソムリエール」、「ソムリエ」などワイン漫画の監修
昨年、大橋健一さんが日本在住の日本人として初のマスター・オブ・ワインの資格を修得されましたが、マスター・オブ・ワイン協会との揉め事を起こさなければ、おそらく堀賢一さんが日本人初であったろうと言われる、日本でもトップレベルのワイン研究者。
カリフォルニアに本部がある「ワインインスティテュート」の駐日代表としても有名ですが、その著作の内容は、ソムリエ教本の5~10年先を行っていると思うのは、氏の著作を読まれたことのある方なら同意していただけるはず。
氏が監修されているワイン漫画でも特に「ソムリエール」などは、そのまんまシニア呼称やコンクール対策の勉強になることが書かれており秀逸。基本的に間違っている記述が多い某『神○雫』などは百害あって一利もありませんので、勉強の息抜きに読むには是非こちらを。

◎葉山考太郎さんの一連の著作:タイトル数大杉て書ききれません^^;
ご存知自称“おちゃらけワインライター”。
ワインの幅広い蘊蓄を、楽しんで“分かる”ことに関しては、氏の著作の右に出るものはないと断言できるでしょう。
クイズ形式で書かれている本も数冊あり、笑いながらコンクールに出題されそうなワインの蘊蓄・トピックを身につけることができます。

◎山本昭彦さんの一連の著作及び「ワインレポート」
山本さんも読むべき著作が多数あるワインライターですが、コンクールを目指すものにとってのバイブルが、氏のブログである「ワインレポート」になります。
世界のワインに関する最新トピックの宝庫といえ、実際コンクールの、特に時事に関する出題のチェックには欠かせない存在といえるでしょう。
今年10月より有料サイトへと移行してしまいましたが、コンクールを目指すのであれば必読といえます。

◎田崎真也さんの一連の著作:これもタイトル数膨大
そりゃもうね、日本のみならず世界のソムリエ協会を束ねる田崎会長の本を読まずにコンクールに出るなんてあり得ないですよね。
Amazonで検索すると、ワラワラと多数の本が出てきますが、だいたいが新書サイズですぐ読めるものがほとんどになります。
一冊読むのに時間もかからないので、手当たり次第に読んでいきましょう。


日本ワインの理解のために・・・

日本ワインがこの十数年で劇的な進化を遂げ、日本各地に高い志を有する造り手が続々と登場し、また日本ソムリエ協会の中核メンバーが代替わりしたこともあり、ソムリエ協会の日本ワイン(清酒もそうですが)重視の傾向が益々顕著となっております。
その傾向はシニア呼称の論述試験やコンクールの小論文問題でも表れており、今後も市場動向など、関連する出題が続くものと思われます。
論述問題では言うまでもなく、自分なりの見方考え方を明示する必要がありますので、暗記するというよりは過去から未来に渡ってどのように変化していくのかという視点を持ち、文献を読み込んでいくことが大事になるでしょう。

◎麻井宇介さんの一連の著作:「ワインづくりの思想-銘醸地神話を超えて」、「比較ワイン文化考―教養としての酒学」、他多数
“桔梗が原メルロ”を世界に知らしめた日本ワインの教祖的存在。
「天・地・人」という言葉がありますが、この中で最も大切なものは何か?と問われた場合、この本を読んだ後では迷わずにそれは「人」であると断言できましょう。
ワインづくりにおける思考はまさに“哲学”の領域にまで達しており、日本ワインにこれだけ数多くの志ある人々が生まれ、劇的な進化を遂げたのも氏の存在があったからに違いありません。
私がワインの勉強を始める前に既に故人となられましたが、生きているうちに是非直接そのお話を伺いたかった日本ワイン界の巨星であり、日本ワインに関する文献の中では、氏の著作を真っ先に読むべきでありましょう。

◎「ウスケボーイズ‐日本ワインの革命児たち」:河合香織(著)
前述の麻井宇介さんに直接の影響を受け、日本ワインの代表的な造り手になろうとしている岡本英史さん、城戸亜紀人さん、曽我彰彦さん3人の物語。
麻井さんが亡くなられる直前に、若手の醸造家たちに遺言のように話しかける冒頭のワイン会のシーンは、もう涙なしでは読むことができません。
ワイン造りには非常に厳しい日本の風土から、本場フランスを凌ぐワインが出来るなんて不可能と思い込んでいるそこのあなた、この本を読んで、この人たちのワインを是非飲んでみてください。

◎「日本ワインガイド‐純国産ワイナリーと造り手たち」:鹿取みゆき(著)
ソムリエ協会教本巻末の参考文献の中にもこの本が挙がっておりますが、著者の鹿取さんは教本の著者にも名を連ねており、日本ワインの項目の文体からも、その部分を執筆されているものと思われます。
全体的には全国各地にある日本産ぶどうだけを使用してワインを造っているワイナリーの良質なガイドブックなのですが、冒頭の部分は現在の日本ワインが抱える問題点が鋭くえぐり出されており、今後の日本ワインのあるべき姿についても大いなる示唆を与えてくれます。

◎「新・日本のワイン」山本博(著)
日本ワイン会の“重鎮”山本先生の手による、日本のワイナリーのガイドブック。
題名に“新”がついているとおり、約10年前に書かれた同タイトルの改訂版になります。それだけこの10年で日本のワインは大きく変わってきているという証左でもあります。
日本のワインが歩んできた歴史から、現在抱える問題点についてのご指摘は、前述の鹿取さんの著作とともにとても参考になるでしょう。
山本先生の著書も多数出版されておりますので、Amazonで検索してみてください。

◎「千曲川ワインバレー‐新しい農業への視点」:玉村豊男(著)
著者は元々エッセイストとして著名な方ですが、長野県の東御市に畑を購入し、『ヴィラデスト・ワイナリー』を興した、日本では珍しい経歴の持ち主。
ここ数年、ソムリエ協会教本でも記述が詳細になってきた、長野県が主導している『信州ワインバレー構想』のうち、もっとも規模が大きい「千曲川ワインバレー」について書かれており、その内容を理解するのに役立ちます。
ことはワイン産業にとどまらず、日本の農業そのものが抱える問題点も明らかにしており、論述試験対策としても多数の示唆を与えてくれるでしょう。


【各種セミナー、試飲会への参加】

ソムリエ協会やSOPEXAなど各ワイン関連団体、インポーターなどが主催する各種のセミナーは、極力参加すべきでありましょう。
このようなセミナーや試飲会はほとんどが平日に開催され、会社勤めの方はなかなか難しいのが実情でしょうが、上司が理解のある方であれば、お休みをとれるよう相談してみてください。
国内にいながら、世界のワイン産地、造り手の最新の情報が得られるまたとないチャンスになります。
また同時にテイスティング試験対策にもなります。


【ワイナリー巡り】

これは自身の反省なのですが、もっともっとぶどう畑やワイナリーを積極的に廻ってみればよかったと思います。
実際、ぶどう畑に足を運び、ぶどうを育てワインを造っている人の話を聴くと、本に定説として書かれていることが必ずしも当てはまらないことが多々あることが分かります。
時間とお金の余っている方は海外の著名ワイナリー巡りもいいのでしょうが、現在は日本全国各地に気鋭のワイナリーが次々と誕生しており、その気になれば日帰りもできる環境になってきております。


以上、今回は筆記試験対策の勉強について、思いつくままに書いてみました

ワインに関する参考文献はこれ以外にも膨大な数があり、一通り読むだけでも時間が足らなくなりますが、Amazonのレビューなどを参考に、自分が興味を持った、知りたいと思った文献の購入をおすすめします。

次回は、テイスティング試験に関する勉強法について書いてみたいと思います。

年内終わりそうもないなこれは・・・(汗)
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